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曽根麻矢子(チェンバロ)
バッハ:イタリア協奏曲、フランス風序曲他


録音:浜離宮朝日ホール、2005年5月&10月
エイベックス

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バッハ:
プレリュード、フーガとアレグロ変ホ長調BWV997
イタリア協奏曲へ長調BWV971
半音階的幻想曲とフーガ二短調BWV903
フランス風序曲ロ短調BWV831

チェンバロを聴く面白さ、にひたるSACD

 クラシックの楽器のなかで、チェンバロはかなり地味な楽器だろう。ステレオで聴いても、どうも音にハリがない。
 僕など、チェンバロを聴くと「古くさいなあ」と思うのが常で、バッハの鍵盤曲はピアノで聴くのを好んでいた。
 が、このSACDを聴いて、そんな偏見もふっとびました。

 いやあ、チェンバロの音が、これほど熱く、ギラギラしているとは思いませんでした。
 極端な書き方をすれば、今までは、表面的にチェンバロの音を聴いていただけみたい。このSACDでは“体感”になってしまいます。
 「ジンジン」とか「ジャラジャラ」と、チェンバロは鳴るわけですが、それがぶ厚く、かつ、きめ細やかなテクスチャーで聴こえる。DSDレコーディングの威力でありましょう。

 マルチチャンネルのサラウンドでは、豊饒な残響音に包まれます。
 ホールでの録音らしいけど、ホールというより、リスニングルームがチェンバロと同じ部屋にいるような空間になります。サラウンドでのほうが“体感度”は確実に増しますね。

試聴機で聴いても良い演奏

 オーディオの感想ばかり書きましたが、演奏もすごく良いと思いました。
 おこがましいですが、レコードショップの試聴機で聴いて、すぐ「これはいい!」と思ったんだよね。ハツラツとしてて。
 音を出す直前に、曽根麻矢子の「フッ」とブレスする音が聴こえる。
 緊張感がこちらにも伝わってくる。
 曲が終わると、チェンバロのペダルを離す音なのかな、それが「…クッ」と鳴って、緊張感から開放される。
 そうやって各曲が進んでいきます。いいですね。

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2006.6.30