チェンバロを聴く面白さ、にひたるSACD
クラシックの楽器のなかで、チェンバロはかなり地味な楽器だろう。ステレオで聴いても、どうも音にハリがない。
僕など、チェンバロを聴くと「古くさいなあ」と思うのが常で、バッハの鍵盤曲はピアノで聴くのを好んでいた。
が、このSACDを聴いて、そんな偏見もふっとびました。
いやあ、チェンバロの音が、これほど熱く、ギラギラしているとは思いませんでした。
極端な書き方をすれば、今までは、表面的にチェンバロの音を聴いていただけみたい。このSACDでは“体感”になってしまいます。
「ジンジン」とか「ジャラジャラ」と、チェンバロは鳴るわけですが、それがぶ厚く、かつ、きめ細やかなテクスチャーで聴こえる。DSDレコーディングの威力でありましょう。
マルチチャンネルのサラウンドでは、豊饒な残響音に包まれます。
ホールでの録音らしいけど、ホールというより、リスニングルームがチェンバロと同じ部屋にいるような空間になります。サラウンドでのほうが“体感度”は確実に増しますね。
試聴機で聴いても良い演奏
オーディオの感想ばかり書きましたが、演奏もすごく良いと思いました。
おこがましいですが、レコードショップの試聴機で聴いて、すぐ「これはいい!」と思ったんだよね。ハツラツとしてて。
音を出す直前に、曽根麻矢子の「フッ」とブレスする音が聴こえる。
緊張感がこちらにも伝わってくる。
曲が終わると、チェンバロのペダルを離す音なのかな、それが「…クッ」と鳴って、緊張感から開放される。
そうやって各曲が進んでいきます。いいですね。
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2006.6.30
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