上原ひろみ、3作目はより深く
この人は最初からそうだったけど、この『スパイラル』では、はっきりと「我が道を行く」ように感じられました。もう、ジャズというより「ヒロミの音楽」という感じです。
本作は、曲作りが彼女の私的なところに深くかかわっているようで好きです。絵画的な印象をもつ作品が多い。
ちょっと聴くと、前2作より地味な感じがするかもしれない。
ファンはこれまでのように、「凄いテクニックでビックリさせてよ」と、受け身になるんじゃなくて、自分から踏み込んで耳を傾けると、すごくいいアルバムに思えるんじゃないかな。
本作はほとんどがピアノによる演奏です。なのでマルチチャンネルも前方にピアノトリオが広がる感じ。リアに音がまわることはない(微妙にシンバルの音がリアまで広がる場面ありますが)。
シンセサイザーが活躍するのは、ボーナストラックの「リターン・オブ・カンフー・ワールド・チャンピオン」。
まるでキース・エマーソンとハービー・ハンコックが取りついたようなプレイは、うまいねえ!
ほんと、ピアノもうまいけど、シンセもうまい、というかチョー個性的。この曲ではマルチチャンネルで音が広がります。
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 2008.11.7
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