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小沢征爾指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」2008年ベルリン公演


国内盤
NHKクラシカル

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音声
1.STEREO/リニアPCM(96khz/24bit)
2.5.0chサラウンド/リニアPCM(96khz/24bit)
画像
1920×1080i
Full Hi Definition
特典映像(12分)
リハーサル風景、小沢征爾インタビュー。

ブルーレイの高画質、高音質で聴く、カラヤン生誕100年記念ライヴ

 これは小沢征爾が、2008年1月、ヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年を記念して、ベルリン・フィルの本拠地フィルハーモニーホールでおこなわれたコンサートのライヴです。曲目も生前のカラヤンが得意としていた曲。HDMI接続でブルーレイの高画質、高音質を堪能してみました。

繊細なハイビジョンで、ベルリン・フィルの熱気あふれる動きを観る

 まずは、ハイビジョン画質に驚かされます。DVDよりはるかに繊細。バックの客席の暗闇も諧調が奇麗に見てとれる。時おり映る団員の譜面も、五線譜まで読み取れるのではないかと思ってしまうほどです。
 制作者によれば、今日の大画面を想定して、奏者のアップよりも引いた画面を多くしたとか。たとえば木管セクションが映り、アンサンブルの雰囲気が分かります。
 特筆すべきは、オーケストラ全体を映した場面。細部までリアリティーがあって、まるでホールにいる錯覚に陥りそうです。
 そんな高画質に映るベルリン・フィルは、小沢征爾の指揮に魅せられたかのように、みんな身体をくねらせ、感情たっぷりに演奏しているのが意外でした。
 実のところ「世界一のオーケストラだから、表面的には冷静に演奏しているだろう」と思っていたのですが、第2楽章のワルツ(5拍子!)や、第3楽章の行進曲、そして第4楽章の盛り上がりを、まるでアマチュアのように(観ている、こちらが恥ずかしくなるほど?)身をくねらせて演奏しています。引きのアングルでは、各セクションが波のように動くところが見物です。
 なるほど、これでこそ心を打つ音楽になるんですねえ。映像で見ると知ることが多いです。
 あと、もちろん小沢征爾の指揮する表情も素晴らしいです(ステージ反対側からの映像は指揮者だけのアップに限定されています。そうしないと「音と画面が反転して逆になってしまうから」という制作者の解説。確かに、これは見やすかった)。
 どの楽章も繊細。ともすれば(我々リスナーが)表面的なところで満足してしまうチャイコフスキーに、もう1枚、深く掘り下げた表現を魅せてくれた演奏に思いました。中でも両端楽章、特に第4楽章が良かったです。

純度100%、透明感のあるサラウンドの臨場感

 それでは音はどうか。
 リニアPCMによるサラウンド音もすごいです(もちろんステレオ再生を選択することもできます)。なんか「楽器の音色がどうたら」という次元じゃなくなっています。
 再生音は「臨場感(空間)を出すためのもの」という感じ。空間の透明度に限れば、ですが、SACDマルチチャンネルよりワンランク高いと思いました(音の厚みはSACDマルチのがあると思います)。演奏音や残響音を聞かなくても、空間が純度100%で再現される感じです。こういう空間に現れる音ですから、オーケストラのトッティからソロまで「生演奏の響きに近いリアルさ」と思ってしまいます。SACDマルチとはまた別のサラウンド。ブルーレイのオーディオもこれからは“耳”が離せません。
 演奏後、拍手が自分の周りにわき起こる。これも臨場感抜群で、カーテンコールを何度も繰り返すうちに、盛り上がってくる観客の熱気が伝わってきます。
 それにしてもカーテンコールのとき、しきりに小沢征爾が天井を指していたのは何だったのでしょう。「カラヤンが来ていたよ」と言っていたのかしら。

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2009.5.7