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小澤征爾指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ
ベルリオーズ:幻想交響曲/マーラー:交響曲第1番「巨人」


ステレオ・リニアPCM
(48kHz/24bit)
5.0chサラウンド・リニアPCM
(96kHz/24bit)
5.0chサラウンド・ドルビーデジタル
国内盤

録音、「幻想」2007年、「巨人」2008年、松本文化会館

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リッピング調整用映像
本作には音声と映像がずれていないかチェックする映像が収められています。拍子木と人間の発音で、〈音と映像が会ったもの〉、〈前後にそれぞれずれているもの〉を収録。大きなホームシアターだと、ずれる恐れがあるのでこれでチェックしてみることができます。

5.0サラウンド、小澤とサイトウ・キネンのブルーレイ

 ブルーレイのチャイコフスキー「悲愴」が好評だった小澤征爾の第2弾。今回はサイトウ・キネン・オーケストラとの松本文化会館でのライヴ。ベルリーズの「幻想交響曲」とマーラー「巨人」のカップリングです。
 画像はもちろんハイヴィジョン。大画面で観ても繊細で心地よい。カメラがステージ全体に固定されている時は、まるで会場で観ているような錯覚におちいります。
 音は5.0chサラウンドとステレオ。放送では圧縮されたAAC方式での放送でしたが(それでも良い音らしいのだが)、パッケージでは圧縮なしのリニアPCM。サラウンドは96khz/24bitに上位変換してあり、さらに高音質となっています。
 サラウンドはやはり圧巻です。まるで会場のような空間。特典映像にはリハーサル風景が収められていますが、こちらは2ch。本編のサラウンドのあとに観ると、 前方にペタッと音が張り付いてしまったようで、「あ、オーディオで聴いている」と我に返ったようで物足りなくなってしまうくらい。ぜひサラウンドをオススメします。

こんなに「幻想」が分かってしまっていいのですか?の感動

 さて、最初は「幻想交響曲」です。楽団がステージに出てくるところから、拍手の渦につつまれる。本作では楽章間の咳、ノイズ等もカットしてないため、客席の中で聴いている臨場感を感じます。
 オーケストラの音はすごく澄んでいます。音はどこまでも透明。アナログレコードなら、暖かく厚みのあるなかで再現される豊かな音が、このブルーレイでは透明な空間に再現されます。
 小澤征爾の指揮は感動で、各楽章のいろいろなテーマを丁寧に描きわけているのが、手振りや表情でわかります。今まで大まかにとらえていた各楽章の細部もこういう構成なんだな、こんなフレーズがあるんだなと分かってしまいます。
 第2楽章「舞踏会」のロマンチックさはこの演奏が一番好きだし、第3楽章「野の風景」の緊迫したイングリッシュホルンのソロもよかった(ここはオーディオ的にも)。第5楽章「魔女の夜会の夢」のクライマックスで場内は拍手。観ているこちらもついリスニングルームで拍手してしまったほどです。

音符から音楽への浄化。「巨人」

 つづいてマーラーの「巨人」。「幻想」より格段に編成が巨大になっているのがわかります。「巨人」はマーラーの中でも小型な交響曲というイメージでしたが、いやいや、映像でみるとすごい編成です。
 「巨人」の演奏も、小澤の指揮とともに聴くと、すごく深みのある演奏になっているのがわかります。第2楽章スケルツォのこのうえもない優雅さ、第3楽章の深く沈みこむような表現。霧が立ちこめるような音楽から晴れ渡った音楽までいろいろなニュアンスです。
 音符から音楽へ浄化された瞬間を感じました。「幻想」と同じように「巨人」をこんなに分かってしまっていいのかしらん、と同じような満足感がきます。
 第4楽章は荘厳な締めくくり。ホルンは立ち上がりベルを上げ演奏。今まで牧歌的な交響曲と決め込んでいた「巨人」が、タイトルにふさわしい威厳さをもって終了します。
 幻想交響曲でも「巨人」でもそうですが、サイトウ・キネン・オーケストラのメンバーって個性的ですね。他の日本オーケストラとどこか団員の顔つきがちがう。ひとりひとりが猛者のようで個性を感じました。クラリネットには、あのカール・ライスターの顔も見受けられました。

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小澤征爾のブルーレイ
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ベルリオーズ:幻想交響曲・マーラー交響曲第1番「巨人」/小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ
透明な音。こんなに「幻想」が分かってしまっていいのですかの感動
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2009.8.11