エルトンの戦艦級の、重厚名曲3曲を収録したアルバム
1971年に発表されたエルトン・ジョンの4枚目の作品。ジャケットは地味な印象ですが、名曲3曲を含む人気盤です。
1曲目、涙が出るほど綺麗なメロディーの「可愛いダンサー」、2曲目、哀愁ある旋律が胸をかきむしる「リーヴォン」、4曲目、狂気と沈鬱を冷たい美しさで描いた「マッドマン」。
この3曲がとにかく素晴らしい。エルトンの全キャリアの中でも最高の曲がこのアルバム(LPですとA面)に集まっています。 この3曲だけのために、アルバムを手放さない人も多いと思います。
もっと極端に言えば「可愛いダンサー」と「リーヴォン」だけ聴いて、プレーヤーを切ってもいいくらい(ただし、何回もリピート再生したくなりますよ)。
他の曲も佳曲であると、気づきます
名曲3曲以外の曲は、さすがに平凡に思えてしまうのは仕方がないことですが、実は他の曲も佳曲ぞろい(と気づくのは大分あとだったのでした)。
LP時代は、どうしてもA面の巨大な名曲3曲に押されて、B面に手がでなかったものですが、SACDですと「マッドマン」のあと、すぐにB面曲に移るので、これらの曲も先入観なく聴けます。
「インディアン・サンセット」は綺麗な旋律、アレンジが重厚。「ホリデイ・イン」は、バンジョーとストリングスの対比が素晴らしい。「グッドバイ」は、70年代の2枚組傑作『青い肖像』に放り込んでも見劣りしない哀愁のあるバラード。
バックマスターのストリングス・アレンジ
このアルバムのもう一つの聴きどころは、オーケストラ・アレンジです。ポール・バックマスターが、極点まで達したオーケストラ・アレンジを施しています。
チェロ奏者のバックマスターらしい、低音域を重厚にならすアレンジは、ガッツリと曲に食い込んだアレンジで、他のポップソングの飾りたてるだけのストリングス・アレンジとは一線を画します。
とくに「マッドマン」と「インディアン・サンセット」、これも本アルバムの聴き所です。
ステレオとマルチ、どちらを聴くか
SACDステレオ再生は、結構、良い音になっているような気がします。各音に「くびれ」が感じられるのは、SACDの「空気感」のせいかも。空間はクリアで、不透明感が消えているように思います。
マルチチャンネルは、ストリングスとコーラスをリアに配置。このアルバムの重厚さが分散されてしまうので、個人的には2chステレオ再生のほうを取るのですが、五分五分の割合で、2chステレオとマルチチャンネルを聴いています。どちらを聴くか決めなくて、その時の気分で選ぶことにしています。
▶Tower Records
Amazon
 2010.9.28
エルトン・ジョンのSACD
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