Elton John
Honky Chateau

輸入盤、Rocket
SACDハイブリッド
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角の丸いプラケース。ブックレットには歌詞(オリジナルLPを引き継ぐデザイン)、John Toblerの1995年ライナー。
サラウンドはグレッグ・ペニーによるもの。
ボーナス・トラックの「スレイブ(未発表バージョン)」は重要度の低い演奏ですが、本編終了後の無音時間を長目にとってあるので、よしとします。
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エルトン・ジョンは、このアルバムから絶頂期へ
『ホンキー・シャトー』は1972年の作品。
エルトン・ジョンはここで、前作『マッドマン』までの重厚路線から、タイトなバンド・サウンドへと変換します。「シンガー・ソングライター=吟遊詩人」から、「ロック・アーティスト」へと変わるのです。
このアルバムでは、ストリング・アレンジはなく、ほとんどがバンドだけの演奏。ギターのデイヴィー・ジョンストン、ベースのディー・マレイ、ドラムのナイジェル・オルスンという、エルトン・ジョンの絶頂期をささえた顔ぶれが、ここから登場します。
もちろんサウンドは変わっても、エルトン・ジョンの素晴らしい作曲と、バーニー・トウピンの素晴らしい歌詞は健在。ピアノ・プレイもあいかわらず聴かせます。
固定メンバーを得て、いい曲が並びます
曲もこのアルバムから、ストレートでキャッチーなものが増えます。
「ホンキー・キャット」は、エルトンの中でも最高のナンバー。「自殺の予感」「サルヴェイション」は、シングルヒット曲にひけをとらないカッコよさ。「モナ・リサ・アンド・マッド・ハンターズ」は、エルトン屈指のバラード。そして「ロケット・マン」は、アルバムからシングル・カットされたヒット曲です。
ジャケットが白黒なせいか、地味な印象を持ちますが、本作はまぎれもなく「エルトン・ジョン絶頂期のアルバム」です。
SACDの音質でさらに輝く『ホンキー・シャトー』
72年録音のオリジナルLPで、バンドの音が変わったと同時に、音質も変わりました。
これを個人的に「エルトン・ジョンのハイファイ化」と言っております(笑)。とくにナイジェル・オルスンのドラムには、それまでアルバムにはなかった、迫力と厚みを感じたものです。
ですからSACDで聴いても、『ホンキー・シャトー』は、それ以前のアルバムのSACD化よりも、一段上の音の良さを堪能できます。
2chステレオ再生では、大変スムーズな音の出方。クリアで厚みがあります。甘く粒だちのよい音が心地よい。
マルチチャンネルはさらにスムーズに広がり、カラフルなイメージ
マルチチャンネルでは、さらに広がりがスムーズ。空間が周りにできた分だけ、音の厚みが強調されるようです。
360度サラウンドは、全体を包みこむ感じ。「ロケット・マン」の宇宙的な広がりに舌鼓をうちます。「こういう〈ロケット・マン〉が、聴きたかったんだあ、オレ!」。
「自殺の予感」では、タップダンスの効果音が、ゆっくりと部屋を一周する演出も見事。音と演出、両方でサラウンドは楽しめるのです。先にも書いたように、地味めに感じていたアルバムが、サラウンドでさらにカラフルになりました。
唯一、マルチチャンネルで小言を言わせてもらえば、1曲目「ホンキー・キャット」で強烈なブラスがリアに配置されていること。このブラスは、いわば『ホンキー・シャトー』の名刺代わり。これをリアに持ってきては、とガックリしたのでした。
でも、まあこれも個人的意見。総合ではバッチリです。
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 2011.2.7
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