ジョン・レノンの“失われた週末”を描いたドキュメンタリー映画が5月に劇場公開。メイ・パンにより語られる真実ー『ジョン・レノン 失われた週末」

ロック/ポップス

ジョン・レノンのいわゆる「失われた週末」と呼ばれる時期に焦点を当てたドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 失われた週末』が、2024年5月10日(金)より公開される。

劇場公開は2024年5月10日。劇場については公式サイトを参照のこと。

管理人も試写を見たので、その感想を交えながら紹介しよう。

50年の時を経て知ることができた、ジョン・レノンの「失われた週末」

これは1973年〜74年あたり、「失われた週末」と呼ばれるオノ・ヨーコと別居したジョンの18ヶ月を、当時ジョンの愛人だった中国系アメリカ人メイ・パンの視点で描いたドキュメンタリー。

映画にはメイ・パンも出演。彼女の語りにより映画は進む。

自身の生い立ちか始まり、ニューヨークのアップル・レコードへの就職、そしてジョンとヨーコの秘書に採用される過程が、彼女によって語られる。その当時の写真や映像に合わせて、メイ・パン当時の思いが語られる。

ジョンとヨーコの関係がギクシャクしてくると、ヨーコはメイ・パンに夫ジョンの愛人になるように促す。

最初は戸惑ったメイ・パンだがジョンは積極的。二人がロスに飛び立ったのは、ジョンのその日の思い付きだった、という話もビートルズ・ファンには初耳なのではないか。

ロスでの生活も細かく描かれる。映画を見て思った以上に当時の写真や映像が多いなと思った。

ジョンの酒や音楽活動(ジョンがテレビを見て「真夜中を突っ走れ」を閃いた時の話とか)。ポールとリンダが遊びにきた時の話(その時のメイ・パン撮影の写真は有名)。

またジョンの元を訪れたジュリアン・レノンや前妻シンシアとメイ・パンの心温まる関係も印象深かった(現在のジュリアン・レノンも出演している)。

映画を見ると、ジョンは決して無味な「失われた週末」を過ごしていたわけではなく、なんだかとても楽しそうにやっているのが伝わる。もちろん音楽のシーンもたくさん出てくる。

そしてメイ・パンという一人の若い娘がビートルズのジョン・レノン、オノ・ヨーコと出会って、普通の人ではできない様々な体験をし、戸惑いつつもなんとか対処して切り抜けてきたこと。感激し、悩み、喜び、悲しんだこと。

それが見るものに強く刻まれる。それがこの映画が単なるジョン・レノンのドキュメンタリーで終わっていない理由だ。

ザ・ビートルズのファンは、2021年の映画『Get Back』でゲット・バック・セッションのリアルな姿を見れたのと同じように、ジョンの「失われた週末」を50年後の今、ようやく知ることができる。貴重な映画だと思う。

『ジョン・レノン 失われた週末』公式サイト
https://mimosafilms.com/lostweekend/#

予告編動画

映画『ジョン・レノン 失われた週末

2022年製作/94分/アメリカ
原題:The Lost Weekend: A Love Story
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2024年5月10日

監督
イブ・ブランドスタイン リチャード・カウフマン スチュアート・サミュエルズ
製作
イブ・ブランドスタイン リチャード・カウフマン スチュアート・サミュエルズ クリスタル・カリー
製作総指揮
ミッキー・パーセル ペギー・テイラー エリック・デウィット ランディ・フィックス シェリー・フィックス ケイト・モリス ハンス・モリス フレッド・フリーマン ハリ・マーク ボブ・フランシス ジョナサン・グールド

音楽監修
ハワード・パー

メイ・パン

1950年、アメリカ合衆国、ニューヨーク州生まれ。中国系移民としてスパニッシュ・ハーレム
で育つ。71年よりビートルズのジョン・レノンとオノ・ヨーコの個人秘書、プロダクション・ア
シスタントとして働き始め、アップル・レコードだけでなく、ユナイテッド・アーティスツ・レ
コード、フェイマス・ミュージック、アイランド・レコードのアシスタントとしても音楽出版にも
携わる。89年に音楽プロデューザーのトニー・ヴィスコンティと結婚。08年に「失われた週
末」を未公開写真とエピソードで綴った『ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド』(河出書房
新社)を発表。12年には自身の風水ジュエリーブランドを立ち上げるなど、写真家、作家、
ジュエリー・デザイナーとして多方面に活躍している。